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絵画よもやま話

第36回「ドガの踊り子」

2008年10月30日

エドガー・ドガ(Edgar Degas, 1834年7月19日 - 1917年9月27日)は、フランスの印象派の画家。フルネームはイレール・ジェルマン・エドガー・ドガス(Hilaire Germain Edgar de Gas)。1834年、パリに銀行家の息子として生まれます。

ドガは「現代生活の古典画家」と自らを位置付けています。印象派展にたびたび出展していたため、印象派の一人といわれていますが、他の印象派の画家とは作風が異なり、屋外の光を影を描き出すような作風ではなく、室内の作品も多く描いています。アングル派の画家ルイ・ラモートに師事したこともあり、アングルの画風や、ルネッサンスの巨匠の作品が基本として見受けられます。

ドガのテーマは古典的手法で現代の都会生活を描き出すことでした。有名な題材としては、踊り子と競馬場があります。また、ドガは大胆なアングルで作品を描いていきます。現実の一瞬を切り取ったような瞬間や斜めからの構図など実験的な手法も見受けられます。

ドガの絵画の中でも最も有名な「舞台の踊り子」。この絵画も斜め上からの構図になっており、舞台袖にいる黒い服の男性を見ることが出来ます。

この場所は桟敷席からの視点と考えられています。当時のバレエの世界は決して純粋な芸術だけではなく、労働者階級出身の娘たちとパトロンの出会いの場という要素も持っておりました。桟敷席に予約できるような上流階級は舞台裏や袖に入る権利も持っていたといわれており、この男性はこの踊り子のパトロンとして描かれている可能性が高いと考えられています。

洋の東西を問わず、日本でも歌舞伎の歴史の中で、お国歌舞伎、遊女歌舞伎というものもあり、踊りを踊るものが身体を売る、という歴史的な事象があります。決して世界の人類史の中では珍しいことではありません。

舞台上で展開されている美しく華やかな世界。その裏にある厳しい現実も、ドガは容赦なく絵画に描き出しています。

世界の名画、ドガの踊り子。明るくみえる作品の裏には様々な歴史の陰影が隠されているのです。

なお本作に使用されているパステルは光に弱いため、、所蔵されているオルセー美術館では、明かりを落とした部屋でガラスケースの中に入れられ公開されています。

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