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絵画よもやま話

第30回「クリムト 接吻」

2008年08月21日

グスタフ・クリムトはオーストリアの画家で、世紀末美術といわれた時代の先駆者です。
すばらしい色使いと大胆な構成で女性とエロチシズムを描き出した画家です。


子どものように無邪気に眠る美女、それに相反する官能。まさに「ファム・ファタル」
(男にとっての運命の女。また、男を破滅させる魔性の女)と呼ばれる女性たちです。

絵画のなかの女性たちは外面的な美しさと内面に秘められた危険な魅力に満ち、
世界中の人々を今なお、惹きつけてやみません。

グスタフ・クリムトは1862年にウィーン郊外で生まれました。父は彫版師でもあり、
その影響かクリムトは博物館付属工芸学校に入学します。工芸学校でクリムトは
石膏像のデッサンや古典作品の模写を中心とした古典主義的な教育を受け、
弟らと共に装飾、デザインを仕事とします。

その後、装飾家として名声を得ていたクリムトは1894年にウィーン大学の天井画の
制作を依頼されますが、それが理性の優越性を否定する寓意に満ちたテーマであり、
時の大臣をも巻き込む大論争を引き起こします。

この事件をきっかけとして保守的なウィーン美術家組合を嫌った芸術家達によって
1897年に古典的・伝統的な美術からの分離をうたうウィーン分離派が結成され、
クリムトは初代会長に就任しました。ウィーン分離派の活動はアール・ヌーヴォーなどに
影響を受け、モダンデザインへの道を切り拓きます。

接吻」クリムトの代表作ともいえるこの絵画の題材は、タイトルの通り"接吻"で、
当時は絵の題材としてタブーとされていました。

モデルは、クリムト本人とその恋人だったエミーリエ・フレーゲです。
この作品は1908年にウィーンで開催された展覧会"クンストシャウ"で検閲を逃れて発表されました。
そして、発表されるやいなやこの作品は大好評となり、展覧会終了後にオーストリア政府が
買い上げることとなりました。

接吻をされる女性の受動的で恍惚とした表情。女の足元には多くの花々がある。
幸せの絶頂とも思われるその場所は今にも落ちてしまいそうな崖。愛の絶頂の中にも
いつか崩れてしまう不安があり、またその不安があるからこそよりその瞬間の儚い愛が
強く強く感じられる。そんな瞬間を描いた絵と考えられています。

この『接吻』に代表される、いわゆるクリムトの「黄金の時代」の作品には金箔が多用され、
豪華で、そして儚い雰囲気をかもし出しています。

グスタフ・クリムトの接吻。まさに世界の名画の一枚。

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