第27回「東山魁夷 緑響く」
2008年06月12日
シャープ「AQUOS」の新しいCMがフェルメール「青いターバンの少女」から、東山魁夷の「緑響く」に
変わりました。
「AQUOS(「東山魁夷」篇)CMサイト」
一面の青緑に白い白馬。この心の内面をも感じさせる幻想的な美しい風景画は東山魁夷の作品の
特徴でもあります。
この絵の題材となった風景である信州奥蓼科の御射鹿池を舞台に、幻想的なこの名作の世界を
実写とCGにて表現しています。青や緑の発色の美しさを表現するためのCMなのだと思いますが、
とても美しい仕上がりとなっています。
「緑響く」はモーツァルトの音楽をこよなく愛した東山魁夷が、ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488第二楽章、
そのピアノの旋律が流れた時、東山魁夷は絵の中を白馬がゆっくり、ためらいながら歩いていくのを感じたそうです。
森と水面がオーケストラを、白馬がピアノの主旋律を表しているとも言われています。
これ以外でも白馬が登場する絵画は複数ありますが、「緑響く」は本画12点、習作6点ある「白い馬の見える風景」、
一連の連作の中でも代表的ともいえる一枚です。
この絵を描くまで東山魁夷は、風景の中に生物を描くことを意図的に避けていたように考えられています。
白い馬そのもののモチーフは若い頃にも描いていたようですが、この昭和47年頃から描かれた「白い馬の
見える風景」では、何か自然の中に悠然とたたずむ命を感じさせます。自然に逆らうわけでもなく、
流されるだけでもなく、ただ、そこにある命。
この時期は鑑真和上の開かれた唐招提寺、御影堂の障壁画の依頼を受け、構想を練っていた時期と
重なってきます。荘厳で雄大な唐招提寺の作品とは、作風の異なるものとされていますが、その清浄感と、
唐から何度も失敗して失明をしてまでも日本にやってきた鑑真和上の志と命。そこに何か通じているものが
あるのではないでしょうか。
名画NETでも現在、人気のある作品の一つです。
